PJ Report 2007/1
ストレスを科学する・身体的ストレスと心理的ストレスの見分け方
 水中でパニックを起こしてしまうと、大きなトラブルにつながりがちであることは、メンバーの皆さんはよくご存じのことと思います。パニックに陥るダイバーは、「スキルに対する自信がない」、「体力的な疲労」などの心に宿る不安感や恐怖感などのストレス状態が先行しています。ストレスには、身体的ストレスと心理的ストレスに分けることができます。これらのストレスダイバーは、どちらも過換気(ハイパーベンチレーション)と動悸が特徴です。過換気とは、速くて深い連続した呼吸によって、体内から二酸化炭素を必要以上に排出してして低炭酸ガス血症に陥り、その結果、手足のしびれ感とともに、一種の恍惚状態をに陥って、正常な判断力が鈍り、残圧系飲み間違い、錯覚などを起こし、更に不安感や恐怖感がつのるのです。さらに、過換気ではエアの消費量が1分間に50〜70リットルに達してしまうのです。毎分70リットルの消費では、水深18mでは10分でタンクが空になってしまいます(多分、そのときの皆さんの残圧は140気圧以上あると思います)。では、心理的ストレスと身体的ストレスを見分ける方法があるのでしょうか。まず、身体的ストレスを考えてみると、心臓や呼吸器の病気がない限り、普段からの運動不足によってダイビング中の運動でオーバーワークとなってしまい、へとへとに疲れて動きが緩慢になる、ゆっくりとしか動けないあるいは全く動けなくないことから、水中で簡単に認識することができます。この結果、呼吸が荒くなって動悸が起きるのです。ですから、潜水前に地上であらかじめその方の体力を予想することは困難であり、潜ってみないとわからないことになります。普段からジョギングなどの運動をするように心がけて頂く様に、お客様にアドバイスしましょう。普通のダイビングの運動量ですと、、時速8km(12分で1600m)で歩行またはジョギングが持続的にできる能力に匹敵します。更に一ランク上の、毎分140mで数分間ジョギングできる程度の運動能力があれば、身体的疲労ダイバーになることはまずないといえるでしょう。一方、心理的ストレスは水中で呼吸が荒いこと以外に見分けるとすれば、ダイバーの目を見て予測したり、スレートに書いたことやハンドシグナルに対しての反応が鈍いことなどから予測が可能な場合があります。しかし、実際にパニックに陥らないうちに、水中で心理的ストレスがある方全員を完全には発見できません。ではどのようにすれば、心理的ストレスがある方を、水中でパニックに陥る前に発見・予防することができるのでしょうか。それは、身体的ストレスとは逆に、地上で見分けることができる場合が多いのです。潜水前の何気ない会話、言動、身体的特徴、行動などにそのヒントが隠されています。医科歯科大学の山見先生がまとめた、パニックの前兆(心理的ストレスの状態)を表に挙げてみましょう。お客様の中に、これらの状態を認める方がいらした場合には、安心感を与えるとともに潜水が可能かどうかを判定する目的で話しかけ、時間をかけても落ち着かないようでしたら、水中でパニックに陥る可能性が高いと判断して、ダイビングを控えるようにさせるのが無難でしょう。また、海外の事故調査によると、ストレスダイバーと事故の関わりについて、事故防止に役立つ多くの情報を提供しています。その内容は、30%がビギナーダイバーであり、そして事故の17%が潜水開始後わずか10分以内に起き、56%は潜水終了直前または浮上中に「エアがこない」というのが誘因になっています。潜水中の事故は8%に過ぎません。そして事故者のほとんどが、ストレスダイバーあるいはパニックが主要な要因になっています。これらの内容を皆さんが熟知していれば、ストレスダイバーによる事故は未然に防げるでしょう。また、お客様同士で自立して潜る場合には、これらの事故を予防したり、万一の事故発生時に対処できるように、お客様にはEFRコースやレスキューダイバーコースを受講することをお勧めしましょう。 

パニックの前兆(心理的ストレスダイバーの兆候)

*呼吸、脈泊が速い、動悸がする。

*発汗が多い。*吐き気がする、下痢になる。

*トイレが近くなる。

*手が震える。

*行動が早くなる。おっちょこちょいになる。無駄な動きが多くなる。

*何度も器材を確認したり必要のないほどの準備をする。逆に活動が鈍くなる。

*拒否的な行動を取ろうとする。

*準備のし忘れ、物忘れ、繰り返しのミスがある。

*周りの状況が目に入らなくなったり、他人のいうことが耳に入らなくなる。逆に何度も同じ様なことを聞き返す。

*事故の出来事など、憂うつなマイナス思考の話をするようになる。またはそれをちゃかす。

*短気になったり、編に威勢がよくなったりする。

*迷信的な行為をする。*潜水中、早く海面に出たがる。海面では、必要以上に体を出したがる。

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