PJ Report 2006/4

「医療現場シリーズ第3弾」

病歴/診断書の価値

「医療現場シリーズ第3弾」病歴/診断書の価値

 お客様が病歴/診断書にYesをつけた場合、医師から診断書をもらわなくてはダイビングに参加して頂くことができないことはご存じでしょう。ですが、潜水医学を知らない医師による診断の価値をもっと考慮すべきですし、お客様の勝手な自己判断や勘違いが危険なのです。医師に診断書をもらうことは、リスクマネージメントの観点からあくまでも自分のリスクを分散することであって、単に書式を整える事務的な作業ではないことを思い出して下さい。自己防衛のために、今回は潜水医学の医療現場でよく問題となる疾患についてお話しします。まず、病歴書の質問項目をよく読み直して、現在の状態だけを質問している項目と過去の病歴まで質問が及んでいる項目があることを見分けて下さい。よく問題となるのは過去の病歴を質問している「・・・が起きる、または起きたことがあった。」「・・・がある、またはなったことがある。」という項目です。問題となる頻度が非常に多いのが、喘息、中耳炎と神経科疾患の3つです。まず喘息ですが、小児期喘息があったが何十年も起きておらず、今は完治していると判断してNoをつけるようなことがあってはいけません。また、潜水医学を知らない医師を受診しても、何年も発作が起きていないのでよいでしょうと診断してしまいます。しかし、検査をすれば喘息が残っていて、潜水をすると何十年ぶりかに水中で発作を起こし、肺破裂やエアエンボリズムを起こすことがあります。これまでに一度でも喘息と診断されたことがある場合には、本当に治っているのか、あるいは喘息があっても潜水可能な状態であるか否かを、潜水医学専門の医師に診断してもらう必要があります。次に中耳炎ですが、小児期に中耳炎を何度かやっただけ、という場合です。これも自己判断で「耳の病気」の項目でNoを付けたり、または一般の医師によって潜水が許可されてしまいます。中耳炎を繰り返していた場合には、鼓膜が部分的に薄くなっていて水深50cmでも鼓膜に穴があいてしまう人が時々います。普通のピンホールとは異なり、多くの場合が手術をしないと治りません。3つめはてんかんを含めた精神科領域の病気です。精神科の主治医は、気分転換によいからと必ず許可してしまいます。薬がまだ必要なうちは潜水禁止ですし、精神科領域の薬は全て潜水時の使用禁止薬です。まず、お客様に病歴書を記入して頂く段階で、過去を質問している項目があることをよく注意して頂くようお伝えすることが一番大切です。次に、お客様がYesをつけた時に潜水医学を知らない医師が許可をしても、上記3項目は信用できないということです。一度主治医などから潜水許可の診断書をもらってしまうと、潜水医学専門医へもう一度受診させにくいと思いますので、上記3項目は初めから潜水医学の医師への受診を促すようにしましょう。

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