PJ Report 2006/3

耳抜き不良は治る!

「耳抜き不良は治る!」

 ダイバーの健康上のトラブルで最も多いのは、耳抜き不良です。実際、当院に受診される新患ダイバーは年間600名ほどですが、(耳鼻科なので当然ですが)そのうちの90%近くが耳抜き不良の相談で来院されています。耳抜き不良で来院された場合、まず耳管機能検査を行います。これによって、現在の耳の抜け具合、耳抜き方が適切かどうかなどが判定できます。つば飲みの耳抜きは、持って生まれたもので治せません。しかし、バルサルバ法はいくらでも治療や訓練ができます。耳抜き不良ダイバーのうち、ビギナーの場合はほとんどの方が間違えたバルサルバ法を行っています。特に目立つのが強く息んで一瞬のうちに圧力をかけるバルサルバを行っている人が多いのです。この方法では抜ける確率が低い上に、内耳への負担が大きく、外リンパろう(内耳窓破裂ともいいます)を起こすリスクが高く危険です。もちろん、100本を超えるダイバーでもこの手技的な問題がある方もいます。その他に、鼻にかける圧力が弱すぎる人、つば飲みの方が向いているのにバルサルバ法を行っている人、その逆の人などもおります。バルサルバ法のやり方が不適切な場合には、オトベントという耳抜き訓練用の鼻風船で訓練します。これは、滲出性中耳炎の子供が在宅で耳管通気治療するための、ヨーロッパの医療特許風船です。日本でも医療器具として認可を受けていますが、保険がきかないために2000円ほどかかります。このオトベントによる訓練は10日から14日で完了する方が多いのですが、中には1ヶ月以上かかる人もいます。また、もともときちんとした耳抜きをやっている、あるいはオトベントで適切なバルサルバ法を習得したにもかかわらず抜けない人は、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎といった慢性的な鼻炎の検査、治療を行います。このような方の90%にアレルギー性鼻炎が、35%に副鼻腔炎が見つかります。しかし不思議なことに、これら慢性鼻炎の重症度と耳抜き不良は比例関係にありません。いくら重症のアレルギー性鼻炎でもよく抜ける人もいるのですが、逆に感じないほどの鼻炎の人でも耳抜き不良の原因になっている人もいます。アレルギー性鼻炎のためにレーザー治療や注射の治療を必要としたり、難治性の副鼻腔炎では内視鏡手術を行うこともまれにあります。これらによって、過去11年間に受診された方のほぼ全員が、ダイビングが可能な程度に耳抜きが治っています。大切なことは、ダイビング当日に耳が抜けなければ潜らない、少しでも抜けづらい人は治してから潜る、治療に時間がかかる場合があるので、次のダイビング予定を入れないで受診する、エントリーレベルの場合には飛行機搭乗などで耳抜きのトラブルが起きた経験がある人は、事前に耳抜き検査や治療をしてから限定講習を開始するよう、お客様にアドバイスしてください。

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