PJ Report 2006/1

医療現場シリーズ その1

「本当のプロフェッショナリズム」

医療現場シリーズ その1

「本当のプロフェッショナリズム」

 ここ1年で各種潜水障害が急増していますが、これらは簡単に予防できたものがほとんどです。お客様のミスで起きた潜水障害以外にも、担当したインストラクターが誤った判断をしたり、障害発生のリスクをおかしたものが目立っています。もちろんメンバーの皆さんのほとんどがこのような事はしてらっしゃらないと思いますが、ダイビングの基本ルールを逸脱しても、今までは大丈夫だったからこれからも大丈夫だろうという考えをお持ちの方が万一いらしたら、最近の2つの事例をお示ししますのでご参考にして下さい。

 事例1)ダイビング後に耳鳴り、難聴、めまい、足のしびれが起きたと来院された460本ダイバー。初日に3本、翌日に2本のダイビングを行った。最大水深が1本目42m、2本目35m、3本目31m。翌日1本目38m、2本目31mで、ダイブコンピューター上で減圧がでたのが4本。現地ガイドは深場のレアものを見せるために、ベテランのお客さんだけで潜った。ガイドについて深場に入り、他のお客さんもこれに従っていたので自分もついていった。これまでにも減圧を出したことがあったが、いつも消せば大丈夫だったので今回も減圧潜水を気にしなかった。診断は重症の内耳型および脊髄型減圧症。しかも、受診するまでに時間がかかっており、10回のチャンバー治療にもかかわらず難聴の後遺症を残した。

 事例2)OWDライセンス講習中に耳抜き不良を感じ、担当インストラクターに申し出るが、そのうちに慣れますよといわれて講習を続行。海洋実習4本目ではほとんど抜けなくなり水中でサインを出したが、潜水時間を20分に短縮して結局講習を終了させた。しかし、エキジット後から耳がふさがった感じがして、多少の耳鳴りとふらつきがあった。インストラクターは、耳がつまった感じになるのはよくあることだし、波酔いしたのでしょう。数日で治ると思いますよといわれ、そのまま様子をみるが1週間経っても治らないので来院。診断は外リンパ瘻(内耳窓破裂)。耳抜き不良潜水によって、水圧で内耳が破裂した状態。破裂閉鎖のために緊急手術を受けるも難聴と耳鳴りの後遺症が残り、今後の潜水は一生望ましくない状態となった。

 日本人はインストラクターのすることに疑問を持たない、ベテランでも自己管理ができないダイバーが多いことはもちろん問題ですが、リスクをおかしてでもレアものを見せることや、一人もドロップアウトさせることなく予定通りに講習を終わらせることが、果たして本当のプロフェッショナリズムでしょうか。減圧潜水や耳抜き不良潜水をしないなどの基本ルールを守ることこそ、本当のプロフェッショナリズムですよね。

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