PJ Report 2005/4

安全停止とテックでの加速減圧

安全停止とテックでの加速減圧

ご存じの通り、一般のレクリエーションダイビングでは停止することなく水面へ浮上してもよい減圧不要潜水であることが大前提です。しかし、減圧症のリスクを減らすためにダイビング終了時に3m〜6m、通常では5mで3分間以上停止する「安全停止」を全てのダイビングで行うことが推奨されています(水深30mより深く潜ったとき、圧力グループが減圧不要限界から上へ3つ以上になったときには義務)。これによって減圧症のリスクはかなり軽減されていますが、それでも減圧症に陥ることがあるのは事実です。最近では5m5分以上、できれば8分の安全停止を行えば減圧症発症率はさらに激減するといわれています。そして、停止中に手足を動かしたり軽く泳ぎ回ることは、血液の循環をよくすることによって窒素の排泄をより促進させることができます。注意して頂きたいことは、安全停止終了後に海面までの浮上速度が早いとそれだけでも減圧症のリスクがあることです。海面際ほどよりゆっくりと浮上する必要があるのです。一方、テックディープダイバーでは計画的な減圧潜水を行いますが、空気による減圧で長時間に及ぶ場合、エンリッチドエアまたは純酸素を用いて減圧することによって減圧時間が短縮されます。これを加速減圧といいます。これらの高濃度酸素ガスを使って呼吸すると、身体組織と肺内の窒素ガスの圧力差による勾配が大きくなります。この大きな圧勾配のために、窒素ガスの拡散が組織から一方的に排出する方向になります。これが加速減圧の基礎です。減圧時間が短くなれば、用意するガス量の軽減、ハイポサーミアの予防、退屈の軽減ができます。たとえば空気で90分も減圧すれば本当に退屈でしょうが、EANx80でしたら20分ほどになるのです(それでも私は退屈でしたけれど!)。そして理論的には必須の減圧時間が短ければそれだけ信頼性が高くなるので、加速減圧で危険性が小さくなるのです。また、空気での減圧停止深度が9mとした場合、EAD(空気換算深度)を見てみるとEANx32では4m、EANx50では2mで減圧していることになるのです。実際に空気で水深2mへ浮上すれば、減圧症になってしまいます。純酸素で減圧する場合、酸素中毒のリスクから水深6m以浅でなくては使用できませんが、どの深度でも−10mで減圧していることになり、水面よりも窒素排泄が早い上に、水深3mでの最後の減圧停止計画を水深5mで行っても同じ効果が得られます。航路に近いとき、波やうねりがあるときには5mの方が安全、というメリットがあります。もちろん、加速減圧のあとでも安全停止は必要です。

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