PJ Report 2005/2

気胸と再圧治療

気胸と再圧治療

ご存じの通り、減圧症同様にエアエンボリズムでも再圧治療が有効です。減圧症では窒素気泡が血管をつまらせるのですが、空気塞栓症では破れた肺組織の血管から入り込んだ空気が血管をつまらせます。再圧治療によって高気圧環境下になると、窒素も空気も気泡が小さくなり、あるいは血液の中へとけ込んでしまいますので血流が再開されるのです。減圧症同様、エアエンボリズムは決して珍しくない、よくあるダイビングの障害です。まず、肺破裂についてお話しします。風邪、呼吸器感染症、喘息、タバコなどは気管支が収縮したりタンが多くなっているために、細気管支をつまらせてしまうことがあります。たった1つの肺胞が密閉された状態で水深わずか1〜2mから浮上しただけで、簡単に肺破裂を引き起こすこともあります。風邪の時に潜ってはいけないというのはこのような理由もあるのです。肺が破裂すると、次の4つの病状を引き起こすことがあります。1)エアエンボリズム、2)気胸、3)縦隔気腫、4)皮下気腫です。これらを総称して肺の過膨張障害といいます。エアエンボリズムは脳に塞栓が起きた場合には片麻痺などの神経症状を伴いますし、重症では死亡します。減圧症との区別が難しい時もあります。上記の2)、3)、4)がある場合には、肺破裂があることを意味し、エアエンボリズムを合併している可能性があります。麻痺症状などエアエンボリズムの合併が疑われる場合には、速やかに再圧治療を受けなければなりません。しかし、気胸だけでは再圧治療の適応がないどころか気胸が悪化してしまうのです。それでは、万一エアエンボリズムを伴う気胸であった場合では、再圧治療をする前、あるいはチャンバーの中で再圧治療を行いながら胸腔ドレナージを入れなくてはなりません。胸腔ドレナージとは、胸腔へドレーンチューブを挿入する外科的治療です。再圧治療の際、高気圧環境から地上圧に減圧するまでの間にドレーン挿入を終わらせてドレーンを解放しておかないと、胸腔内の空気はさらに膨張してしまいます。地上圧になったら必要に応じて陰圧をかけて肺をふくらませます。その他の肺の過膨張障害についても、エアエンボリズムの可能性が否定できれば、再圧治療の必要はありません。気胸がある場合の全てが再圧治療の適応ではなく、エアエンボリズムを併発しているときのみ再圧治療が必要であることをご理解下さい。この内容につきましては、エンサイクロペディア2−55〜58をご参照下さい。

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