PJ Report 2005/1

カツオノエボシによるケガ

「カツオノエボシによるケガ」

新レスキューマニュアルのシナリオの中で、カツオノエボシによってケガを負った方を救助する際、救助者が素手で触れたために二次的な被害にあったという内容の記載があります。これはよく陥るトラブルですので、今回はカツオノエボシによるケガを解説してみたいと思います。カツオノエボシは毒性の強い刺胞をもつ長い触手を海中にたなびかせており、これが皮膚に触れると巻き付いてちぎれてしまいます。この毒は刺された部分が腫れるだけでなく、時にはアナフィラキシーショックを起こして命に関わる場合もあります。ちぎれたばかりの刺胞はまだ生きており、まずはこれをできるだけピンセットなどで除去しなくてはなりません。こすってしまうと、さらに刺胞が深く刺さってしまいます。長時間放置するほど毒が多く入りますので、なるべく早急な処置が必要になります。刺胞をできる限り除去した後、海水または食酢で患部を洗い流します。浸透圧が低い真水で洗うと刺胞がさらに飛び出して深く刺さってしまうため、決して真水をかけてはいけません。食酢は毒を中和する作用があります。この後に抗ヒスタミン剤の軟膏や内服薬、ステロイド軟膏を使用し、痛む場合には痛み止めの内服薬、キシロカインのゼリーやスプレー、氷で冷やすことによって痛みが緩和します。注意すべき事は、これらの処置を行う場合には処置する人の手にバリアをつけ(自分で行う場合には自分の手に)、決して素手で触手を触らないことです。洗浄する場合にはねて目にはいることがありますし、バリアをした手でうっかり目や顔に触れてしまった場合に備えて、目もバリアを使うべきです。これらの知識を得ることによって正確で適切な処置や二次障害予防が行えるようになりますが、EFRのコンセプトと同様に、お客様に過剰な情報を与えることはかえって混乱を招くことが多いのが、海洋生物によるケガです。生物によって同じ治療がかえって悪くなることがあるからです。例えば、クラゲ以外の多くの海洋生物によるケガは真水で洗い流すことが有効ですし、一般的なイソギンチャクをはじめとする多くの海洋生物毒は食酢で中和できるのですが、ウンバチイソギンチャクはお酢をかけると悪化してしまいす。お客様には、「カツオノエボシは手と目をバリアして素手で触らない。刺胞を取り除いた後、真水ではなく海水で洗い、食酢で中和する。」とわかりやすく簡単に説明することがポイントです。

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