PJ Report 2004/4

病歴/診断書の医師の診断

「病歴/診断書の医師の診断」

病歴/診断書に1つでもYesが付いたとき、または、たとえ全項目がNoであってもDMコース以上の受講時については医師の受診が義務づけられていますし、45才以上の方は受診することが推奨されています。この様なケースで医師の診断を仰ぐ必要があるときに、メンバーの皆さんが現在の主治医に受診するようにアドバイスすることは、ごく自然な考え方だと思います。しかし、潜水医学を知らない医師の診断は、かえって危険な結果をもたらします。私の日常診療の中でよく問題となる項目をご紹介しましょう。これらの項目は、すでにCカードを持っている方がほとんどであり、ダイビングを開始したこと自体が問題となるケースばかりです。たまたま耳鼻咽喉科領域について当院を受診され、問診票によって明るみにでたケースです。まず、一番多いのが「喘息の病歴」です。これについては以前にもPJレポートでも取り上げられてきました。たとえ小児期に治っていたり、ここ何年も発作を起こしていない方であっても、これまでに一度でも喘息と診断されたことがある人は必ず潜水医学を専門とした医師の許可をもらわなくてはなりません。ダイビングをして何十年ぶりかの喘息を起こし、エアエンボリズムで死亡するケースがあるからです。水中環境では喘息を誘発しやすく、しかも発作を自覚していなくても検査上ではまだ喘息が残っている方が結構いることを知っておいてください。次に問題となるケースは「精神科の病気」です。精神科の医師は、気分転換によいのでむしろ推奨するという理由でほとんど100%の医師が潜水を許可してしまいます。しかし、薬の治療を必要とする重さの精神科の病気は全て潜水禁止であるうえ、精神科領域の薬は全て潜水時の使用禁止薬です。水中では全ての薬の作用が増強されます。当然の事ながらこれらの薬は神経系の活動を抑制するので、18m程度の水深でも正常な判断ができないほどにボーっとして危険です。浅い深度で重症の窒素酔いを起こすものだとご理解下さい。また、DM以上のコース受講時についてですが、なぜこの時には全てNoであっても医師の診断を仰ぐ必要があるかということを、受診する前にその価値をよくお客様にお伝え下さい。プロスタッフになるのだから、自分が事故を起こしていては話になりません。ですから、人間ドックなどの検査を受けてはじめて価値のある病歴/診断書になるのです。ドックなどの検査を最近受けていない方で、診断のための検査を了解してくださる方は10人に1人です。リスクマネージメントの観点から、形式的に診断書を整えてもらうのではなく、事故防止のための価値ある診断書を受け取りましょう。

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