PJ Report 2000/2
Q&A

Q: MFAの初期の評価で首の脈拍をチェックする項目がありますが、片方のチェックではいけないのでしょうか?

また、自分に近い方からチェックするのは何か理由があるのでしょうか?

A: まず両側の頸動脈をチェックする価値からお話しします。それほど良くあることではないのですが、人間の頸動脈に血流の左右差や、脈拍の左右差が生じるような病気があります。専門的になりますが、高度の動脈硬化、腕頭動脈に及ぶ解離性大動脈、癌などの腫瘍性病変、まれには一側の頸動脈を結紮するような手術後などです。外傷の受け具合で起きる可能性もあり得ます。また、血管の走行や、頸動脈周囲の筋肉の太さが必ずしも左右同じとは限らず、片側では触れにくい場合があります。さらに、少し首が横を向いていたり、痛みのために真正面を向けないような外傷の場合にも、脈の触れ方に左右差が出る事があります。時には手技的に未熟なために、片方しか触れることができない場合もあるかと思います。ですから、一側ではほとんど脈拍を触れることができなくても、対側では脈拍を触れる場合があり得るために両側の頸動脈を確認する必要があるのです。両側で脈がはっきり触れない場合に始めて心臓マッサージが必要になるのですが、心臓が動いている人に心臓マッサージをすることは大変危険であることは周知の事実です。そのための確認だと心得て下さい。逆に言えば先に調べた片側がはっきりと脈を触れることができれば、必ずしも両側を触れる必要はない事になりますが、自分の脈拍を感じていないかどうかの確認のために一応両側を調べる方がベストでしょう。次に、自分に近い方から頸動脈をチェックする理由ですが、手技的には手前の頸動脈の方が触れやすいのが普通でしょう。すなわちそれは遠い方よりも正確度が増すわけです。そして、実際の手技をイメージしながら考えてみて下さい。呼びかけに応じずチンリフトにて気道を確保し、呼吸停止を確認したら2回のフル呼吸による人工呼吸を施し、その後に頸動脈を触れて脈拍をチエックするのですから、もしも救助者が患者の右側にいた場合、救助者の右手は患者のチンリフトをして気道確保をしながら、左手で事故者の右頸動脈を触れるのが自然な形です。もしも自分から遠い方の左頸動脈を触れるのでしたら、気道確保をしながらでは体勢としてやりに上に、その結果は正確度が落ちます。ですから、素早くかつ正確に行うにはまず左手で右頸動脈を触れるのが一番なのです。姿勢もほとんど動かすことなく一連の動作が流れるように可能になります。その後にやりにくい逆側を確認する方が無難です。最後に、メンバーの皆さんへアドバイスです。救命センターに勤務していた事がある私の経験から、一見死んでしまったように見えても、救急隊や病院の手に渡るまでは、何時間であれ決してあきらめずにCPRを続ける様にして下さい。それが生死の境目になることが本当に多いのです。

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