Diving World 1999/8
潜水病について -ビギナー編-

潜水病について -ビギナー編-


1. 潜水病ってどんな病気?


潜水病とは一般名で、医学用語では減圧症といいます。最近ではダイビング講習でも減圧症とテキストに書かれるようになりました。空気中の酸素は体内で消費されますが、不活性ガスである窒素は高圧下では血液を介して筋肉、脂肪などの組織に溶け込むだけです。そして浮上時に圧力が下がると、逆に組織から血液中に窒素が戻り、肺から放出されます。このとき、多量の窒素がとけ込んでいたり、急激に圧力が下がると窒素は気泡化してしまい、気泡が大きくて血管を詰まらせると発症します。よくこのメカニズムは炭酸飲料にたとえられます。炭酸飲料は容器の中で二酸化炭素が飽和状態に溶けています。栓を開けて、急激に大気圧まで圧力が下がると泡がでますよね。この原理と同じです。でもダイブテーブルやダイビングコンピューターで十分な無減圧時間内であり、ゆっくり浮上し、安全停止をすれば滅多に起きません。症状が徐々に悪化するのが特徴です。通常エキジット後1時間以内に発症し、時間とともに悪化する。レンタル器材のダイバーが、インフレーターボタンを押したら戻らなくなって吹き上がってしまい、その後30分して膝がチクチクし始め、3時間後には膝を曲げると激痛が走る様になり、1日たって歩けなくなった人がいましたが、これは典型的な関節型の減圧症で、ベンズと呼ばれます。

2. 潜水病の種類、症状、治療。


 減圧症は窒素の気泡が出来た場所で症状が起きるものを?沍^といい、筋肉型、関節型があります。? 型は重症で、できた気泡が移動して別の場所の血管につまるものをいい、肺型、心臓型、脊髄型、脳型、内耳型があります。症状はその場所ごとに異なり、筋肉や関節は針で刺したような痛み、肺は呼吸困難やチアノーゼ、心臓は胸痛、脳脊髄は麻痺、呼吸困難や停止、意識障害など、内耳は激しいめまい、難聴、耳鳴りです。内耳型以外は死亡することも。治療は発症直後の純酸素吸入が特に有効で、必要があれば心肺蘇生を施しながら酸素を与え続けて搬送し、出来るだけ早く再圧チャンバーに入ることが必要です。命に関わる脊髄型減圧症に陥ったダイバーが、ボートに上がってすぐに酸素を吸い、港から再圧治療が出来る病院まで救急車内でも酸素を吸い続け、20回ほどチャンバーにて再圧治療を受け、奇跡的に後遺症なく回復した事例が昨年ありました。発症直後からの救急酸素がなければ、重大な後遺症が残るか死亡していたと思われます。全ダイビングショップ、ダイビングボートに酸素が用意されることが必要です。1日も早く普及するよう、各潜水指導団体やDAN JAPANが日夜活動中です。

3. 潜水病のリスクとは?

 実は減圧症のなりやすさはかなり個人差や体調といった要因が大きく、簡単には語れません。無減圧潜水であったにもかかわらず、減圧症に陥る人もいます。しかし、明らかなリスクというものがいくつか知られています。急浮上、30mを越える深く長い潜水、下痢や寝不足などの体調不良、潜水前後のアルコールや激しい運動、高齢、昔のけが、寒冷、肥満、血管収縮作用がある一部の薬、潜水後の熱いシャワーや入浴、潜水後24時間以内の飛行機搭乗や山越えが有名です。これらの要因を控え、余裕を持った控えめの潜水を心がけ、ダイビングコンピューターを過信しないことです。エキジット後には水分を多めに取りましょう。休みが短い日本人は1本でも多く潜りたがり、飛行機に乗る日も潜って発症した人は以前よくありました。このため、最近は現地サービスがチケットを確認するなどして飛行機搭乗当日は潜らせないようになってきました。普段はほとんど運動をせず、息が上がって少しでもエアーの消費が早くならないようにと、リゾートに着いてから毎日朝夕マラソンを5キロほどしていたダイバーが、連日潜っているうちに減圧症になったことがあります。ダイビング前後は安静にした方が良いのです。

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