Diving World 2000/12
Q&A

Q&A

1、ダイバーのタイプ別、ダイビングのスタイル別にエア消費が早い、遅いという傾向はあるものでしょうか。もしあるとしたら、その理由、考えられる要因も教えてください。    人間の体格によって、通常状態でも必要な酸素量は異なってきます。体が大きい分、もちろん酸素は多く必要です。それを「基礎代謝量が違うと」医学用語では表現します。通常、男性よりも女性の方が体格が小さく、基礎代謝量は小さいです。同じようにデブよりもヤセの方が基礎代謝量が小さいのです。その結果、基礎代謝量の小さい人は空気の持ちがよいということになります。これは運動をするとさらに差が大きく出てきます。 また、ウエットスーツよりもドライスーツの方が、若干ながらエアーの消費は少ないです。なぜならばドライスーツの中に入れる空気量が結構あるからです。でも慣れると空気の出し入れの回数が少なく、それほど大した違いにはならないと思います。 ボートダイビングではエントリーポイントまでタンクを担いで歩く事もない上、水面移動がほとんどなく、かつドリフトダイビングをすれば潮に逆らうこともなく、総合的に運動量が少ないので、ビーチダイビングよりもエアーの消費は少ないのが一般的です。 午前中と午後では、ほとんど変わりませんが、水になれているという意味からは午後の方が緊張もなくエアーは持つことが多いです。 ナイトダイビングは慣れていない場合、緊張から呼吸が速くなりがちでエアーの消費は若干早いのですが、多くのナイトダイビングは浅い潜水が多いので、実質大きな変わりはないでしょう。 2、先生がスクーバダイバーの動きを見て、エア消費に最も影響すると思われる瞬間はいつですか?(例えば、潜降の瞬間、浮上の瞬間など) そして、そこでエア消費が増大しないようにするためにはどうしたら良いのでしょうか?  潜降時、不慣れな人は緊張をするし、耳抜きが困難な人はじたばたしてしまいますので、潜降の方がエアーは消費します。浮上の時にはすでにその海域のダイビングになれているし、よほどのオーバーウエイトでなければほとんどエアーは消費しないでしょう。ですが、ベテランになると潜降時でもエアーの消費について、水中でのエアー消費量と変わらなくなります。潜降前に海面でほんの2〜3分でもゅっくりと深呼吸をして、呼吸を整えてから潜降します。潜降中は早めにまめに耳抜きを行い、速度がゆっくりになるよう調節しながら潜降します。慌てることが一番いけません。潜降に時間がかかるという人は遠慮なくその旨を申し出て、早めのエントリーをしましょう。 3、エア消費をおさえるための呼吸のリズム、どうすれば効果的かアドバイスください。 ダイビングの呼吸は大きくゆっくりと吸ったりはいたりすることです。早くて浅い呼吸は肺の一部でしか空気が入れ替わらないので、酸素が足りなくなるだけでなく二酸化炭素が蓄積してきて苦しく感じ、よけい速い呼吸になります。その結果、エアーも無駄に消費するのです。水深が深くなると呼吸の抵抗が若干ながら出てきます。早い呼吸をすると吸いにくく感じることがあるので、よけい苦しくなってさらに速い呼吸になりエアーを消費します。ベテランは地上と同じ深さの呼吸をゆっくりしています。無駄な動きがないので、歩いている程度にしか酸素を必要としないためです。ベテランになるまでは、呼吸の基本はゆっくり大きくです。 4、エア消費をおさえるためのフィンのかき方、どうすれば効果的かアドバイスください。  いかに運動量を少なく、推進力があるフィンワークであるかが鍵です。要するに効率がよいフィンワークはエアーを消費しないのです。良くないフィンワークは「自転車こぎ」といわれるもので、膝を曲げると同時に股関節も曲げてしまう、地上でいう「もも上げ運動」をしているような(走っているような)フィンワークです。効率よく楽なフィンワークは人によって違いますが、あおり足の方が効率がよい人が多いようです。通常のフィンワークでも、細かくばたばたやらずに、1回1回のフィンワークをしっかりと行い、滑空するような余韻を残しながら行う方が効率的です。 5、フィン、呼吸間隔以外に、エア消費をおさえるために重要な要因は何かございますか?またそれを克服、または解消して、エア消費をおさえるにはどのようにしたら良いですか?  中性浮力がきちんと取れないダイバーは足が下がり、フィンワークで浮こうとばたばたします。この姿勢はまた、進行方向や流れに対して水の抵抗が増すためによけいに運動量が増えます。中性浮力が取れない多くのダイバーはオーバーウエイトです。自分の装備にあった適正ウエイトをきちんと取れるように訓練するか、インストラクターのアドバイスを受けましょう。 6、エア消費をおさえるために、水中で息をとめがちに潜るダイバーがいます。 どれだけ危険か教えてください。  いわゆる「スキップ呼吸」といわれる方法で、酸素不足になるだけではなく、呼吸回数が減るために二酸化炭素過剰になります。その状態で浮上すると分圧が変わるためにさらに二酸化炭素過剰に拍車が加わり、浮上後にひどい頭痛に悩まされたり、嘔吐する人もいます。ひどい人は半日以上頭痛が治りません。また、息を止める癖の付いている人は、緊急時に海面へ浮上する際に、慌てているためにうっかり息を止めたまま浮上してしまうことがあります。これは肺が破裂してしまう原因になります。肺が破裂すると、エアーエンボリズムといって命に関わる空気塞栓症を起こすことがあります。習慣として潜水中は絶対に息を止めないことです。 7、ストレスや精神的なものが、エア消費に影響がある場合はございますか?   それはどんな時ですか?  経験不足から来るストレスや心配は、知らぬうちに呼吸が荒くなり、想像を超えた早さでエアーを消費します。15分間で200気圧を消費した例もあります。ディープダイビング、ナイトダイビング、流れの強いダイビングなど、特殊な潜水環境で経験が不足していたり、知識不足から思わぬ緊張状態になることは良くあることです。また、見栄を張ったり、カッコを付けようとしたために実力に見合わない期待をされてしまい、極度の緊張状態に陥り、同様のストレス状態になることもあります。実力に見合ったダイビング環境でなかったり、緊張を感じたら、引率者やインストラクターに隠さず相談しましょう。たとえ同じ100本の経験本数のダイバーでも、同じ様な海でばかり潜っている人よりも色々な環境のダイビング経験をした人の方がストレスは受けません。 8、その他、エア消費をおさえるための、効果的なアドバイス、何かございましたら教えてください。  まず、自分の体にあった器材選びをすることです。顔に合わないマスクはマスククリアーを頻繁にしたり、脚力に合わないフィンはオーバーワークの元です。また、健康面にも気を付けましょう。体調不良は、運動によっていつもよりも多くの酸素を必要とする結果となります。二日酔いなどはもっての他です。さらに、普段から地上でも運動をし、心臓と肺の機能を高めておくことは重要です。これによって相当エアー消費量が変わってきます。階段を昇って息切れがするなんていうようではだめです。

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